シンダーガールの目覚め/唯浮
 


この目玉の奥の部屋に
しっかりへばり付いていたけれど

嗚呼、落ちてゆきました
幻想即興曲を弾いた時の靴
片割れだけが吸い込まれて

上やら下やらへの 疑問符を押し込めた鞄
ネクタイの長さを 気にしている中年男

適齢期が埋もれている 洗濯物の制服の皺
汗ばんだ腋の下を 気にしている若い女

其れ等が押し込められた中に
自身も押し込められて
残った靴で裸の足を
そっと後ろに隠す

誰彼も己のみが唯一無二と
醸し出された違和感やら
全くもって見えないらしい

そんな彼等に只今
瞳に映っているであろう光は
人工的か否か

列車は明るく照らしてゆ
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