Another Side Of/寒雪
青白い顔をしたブラックライトの
にじみ出るフェロモンに誘われた羽虫が
情熱に身を焦がす臭いが鼻を突く
真夏の夜寂しがりやなコンビニに
主人の帰りを低くうなりながら待つ乗用車
迷わず二人で乗り込んで
持ち主に届かない大声で
ちょっと借りるぜ
舞台演劇よろしく大仰しく叫ぶ言葉に
二人顔を見合わせて腹を抱える
艶やかに飛び交うネオンが
競い合って街を輝かせて
浮かび上がるアーチの中を行く
勢いよく入れ替わる街の建物を
窓の外に引き連れながら
ポケットウィスキーで乾杯
刺々しい赤信号を背負って
タイヤの泣く音と怒るクラクションを
心地よいBGMにどこまで
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