ポチの消滅/テシノ
 
チにあげるつもりだと母に話した。
すると、じゃあ明日一緒に行ってポチに何色が好きか聞いてみようか、と言われた。
私はその提案にあまり乗り気ではなかった。
何故なら、母と一緒の時はポチが無口になってしまうからだ。
そして彼が母に尻尾を振るのも気に食わなかった。
次の日、案の定ポチは黙って尻尾を振るだけだった。
ポチはお前がそれで絵を描いてくれればいいって言ってるよ、と母は言った。
母が嘘をついている事はよくわかった、私は母がポチとおしゃべりできない事を知っていたのだ。
その日、それが何かはわからないが、私は心にざわめくものを感じた。
それ以来、私は宝物を母ではなくポチだけに見せるよ
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