ポチの消滅/テシノ
 
がある。
ひょっとしたらあの頃、私の方が犬語をしゃべっていたのだろうか?

ある日、私は道端で「ものすごくまっすぐな棒」を見つけた。
恐らくそれは通りかかったトラックから落ちたか何かの建築資材だったのだろう。
しかし幼かった私にとって、「ものすごくまっすぐな棒」が道端なんかに落ちているという事はとんでもない大事件であり、これはきっと何か特別なものに違いないと思った。
すぐにポチに報告だ。
私はその頃、自分の宝物は全てポチに見せており、そのたびに彼は私の宝物を褒めてくれたのだった。
12色のクーピーを買ってもらった時は、彼が少しうらやましそうな顔をしたのが気になり、どれか一本をポチに
[次のページ]
戻る   Point(2)