ポチの消滅/テシノ
 
事なくいつもおしゃべりしていた。
私が姉と喧嘩をした時には優しく慰めてくれたし、昨日の夕立で雷が何回鳴ったのかも彼は知っていた。
私は雷がとても怖かったので、ポチはやっぱりすごいな、と思った。
今思えば、ポチだって雷が怖くて仕方なかった筈だ。
だって犬というものは雷嫌いと決まっているのだから。
それでも、明日も遊びに来るであろう怖がりの子供のために、彼は小屋の中で一人、ビカビカと光る雷をじっと見つめていたのだろう。
やがて、ポチが見つめているであろう雷を私も窓から見るようになった。
それでも母に手をつないでもらいながらだったが。
今はわりと雷が好きだが、夕立の時にはふと考える事があ
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