チワワみたいに小さくて/(罧原堤)
座り込んだ。しばらくそこに座りつづけ川面を眺めているといくぶん気分も落ち着いてきた。川面がキラキラと輝いていた。橋の下は何かの金属のバネのようなものが垂れ下がっていて、空き缶や古新聞など捨てられたままで、それらを見ていると、ここが自分の居場所のような気がしてならなかった。体がフッと軽くなったようだった。ここが僕の居場所なのか、もう僕の部屋は、あそこは、違う。自分の部屋にいても倦怠感や退屈感に見舞われるから、あそこはもう僕の居場所じゃないんだろう。どこかの広場や人ごみに揉まれているより僕はやっぱりこういうところに一人でいるのが似合ってるんだろう。ガキの頃からそんな奴だった、そんな変な奴だった。背後の
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