チワワみたいに小さくて/(罧原堤)
 
と街路を歩き始めていた。何か救いはないのかと、迷い苦しみながら。疲れていた。何が大切なことなのかわからなかった。頭痛がしていた。息をするのもやっとだった。だけど、だからこそ、どこかへ行きたくてしかたがなかった。あの道を曲がれば救いがあるかもしれない、あの道をずっと歩き続けていれば不思議な出会いがあるかも知れない。自身にそう言い聞かせて歩き続けていた。が、こんな状態でも脳はけっこう冷静なものだ。(そんな救いなどはないに決まっている)と、わかっていた。川が流れていた。僕は、コンクリートのタイルを踏みしめ、転げ落ちてしまわないように少し注意しながら、河岸を歩いて、降っていたが、橋の真下にくるとそこに座り
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