ジュリエットには甘いもの 後編/(罧原堤)
ると、誰かが話しかけてきた。
「なんだ、ウスバカがこんなとこで、なにしてんだ?」農夫だった。
「ウスバカ?」
「ああ、ウスバカだろが? そんな洒落た羽、甲冑からはみ出てんだからなあ」
「いや、これは、……僕は田舎者ですよ。でもこの羽は親が僕にくれたんです。でもこんな暗いのによく僕の羽の色がわかりますね」
「ど、わっはっはっは!」
『どわっはっはっは? なんでそんな笑い方をするんだろうこのおっさんは? ありえないだろ』
農夫は何度もうなづきながら平然として、
「こっだら田舎は、街灯なんてねーべからさ、自然と暗闇に目が慣れるっぺよ」
『ぺよ? こっだら? ねーべ? たしかに俺は錯乱
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