ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 
yumyumyuとずっと呟いていた。何かの呪文なのだろうか、ドストエフスキーの頭にそんな考えがよぎり、悪魔と契約する決断もできかねた。何も考えられなかった。
「どうするのだ? myumyumyu、早く決めろ、もう消え去るぞ、そうすればもうお前は二度と俺と契約することはできないのだぞ。後で後悔しても知らんぞ!」
 ドストエフスキーはとっさに悪魔の足に縋りついた。
「待ってくれ! わかった。契約する! だから俺を何千年も世界に君臨できるほどの大作家にしてくれ!」
 悪魔は満足げに頷くと、「よし! お前の魂は俺が預かっておこう!」そう叫び、三叉鉾をドストエフスキーの額に突き刺した。
 ぐはぁ、
[次のページ]
戻る   Point(0)