ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 
となどない、ただ一言俺と契約したいと言えばいいのだ」
「う……う、う……、俺は……あなたと、……」だがしかし、ドストエフスキーもなかなか理性に打ち勝てないでいた。「ああ……、なぜあなたは俺にそんなことを薦めるのだ? ……なぜ他の奴ではなく俺に……」
 悪魔はmuhuhuといやらしく微笑んだ。
「buhaha! お前は二番目だ! トルストイのとこに最初に行ったんだがあっさり断られてしまったんでな、情けないことだが、あいつにいくら言っても無駄だと分かったのだよ。それでNO.2のお前のところに来たというわけさ!」
「NO.2……、このおれがトルストイ以下だと言うのか」ドストエフスキーの眉間に深い
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