ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
深い皺が刻まれた。
「当たり前だろうが! gyahahahaha、お前とトルストイでは比較にもならんわ! 本気であいつより上だと思っていたのかお前は? gyukyukyu、とんでもない自惚れ野郎だなまったく! さあどうするのだ? 俺と手を組めばトルストイの才能も上回れるのだぞ! あいつに勝ちたくないのか?」
「俺は今でも、トルストイより優れている……、俺の才能がトルストイに負けていると思い込んでいるお前と契約などしようものならどんな大作家にされるか分からないな。おおかたトルストイとホメロスでも足し合わせたような味気ない大作ばかり書く男にでもするつもりなのだろう?」
「gya、gya、この男に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)