道を走る、走り続ける/ブライアン
浦しをんの「強く風が吹いている」を送ってくれた。箱根駅伝の本だから、と彼は言った。
送られてきた本の包装紙は、地元の本屋のもので、かつて筋肉トレーニングの本やメンタルトレーニングの本を買った本屋のものだった。
包装紙を丁寧にあけたりはしない。びりびりと破り取り、500ページほどの「風が強く吹いている」の単行本が出てきた。すごくうれしかった。
読み始める。ぞっとする。ページをめくる手が止まる。信じられないくらいひどい作品だった。たぶんこれを読んで感動する人もいると思うと、寒気がしてくるほどに。彼女がなぜ箱根駅伝を取り上げてしまったのか。何を思ってこの小説を書こうと思ったのか。彼
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