In hoc apparuit caritas dei in nobis etc./一 二
 
からも、何か苦いものが立ちのぼり、
不安な心は悲しい喜びしか知らない。
地上では嬉しいことがあろうとも、
それがなんの翳りもなしに、
人の心を楽しませることはけっしてなく、
曖昧な笑みの中に涙が光るもの」

女の子は悲しげに微笑んで、
首を僅かに、だが力強く、横にふった。

「なぜですか?
貴方の清らかな顔が病苦で色あせたり、
色々な気苦労が貴方の顔に咲いた薔薇を奪いとってしまってもいいのかい?

『いやいや!』

「貴方は私と一緒に天の国に入り、喜びの合唱を奏でるのだ。一緒においで!!」

女の子は、一生懸命喋ろうとした。けれど、口が動かない。

『……お
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