落とし文月/小池房枝
 
首、体、深く傾け耳の底、鼓膜に雨は轟くだろうか

吾亦紅、街中で君に会うなんて揺れてるとこしか知らなかったよ

雨の日の温泉にひとり腰掛けて背や肩やももに天水を浴びる

空高くオルタンシアを投げ上げる何度も何度も手毬歌うたう

カンナ何をか削って咲くの夏という季節に命の篝り火かかげて

本の山 本の谷間に住みたいな 書物という名のヴァーレルセルたち

ヒグラシとアオマツムシを聞くために無人の広場をチャリで突っ切る


フシギダネ不思議だね花は実を結び零れダネからまた咲くんだね

反魂草(ハンゴンソウ)こどもが描く星のような花の匂いを誰か知ってる?

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