会話で起きたこと/プテラノドン
 
起きている脳作用を、
そこにある言葉を一生理解することはできない。二人は始発まで
酒を飲み続け、彼女は家に帰り、彼はそのまま仕事に向かった。
上野駅のホームに到着した列車の前での別れ際、彼女は彼に
キヨスクで買ったビールとウーロンハイの入ったビニール袋を渡した。
「これから仕事なんだぜ」と彼は言ったが、彼女の気の計らいが大好きだ。
結果からいうと彼はそれを飲まなかった。座席に座ったが眠らずに、
袋をぶら下げたまま、目を閉じただけだった。楽しい出来事のあれこれに
思いを馳せながら列車に揺られているのは、この上なく、
心地いいものと感じた。改札を抜けた彼は職場までの歩道をサッカー少年
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