都市風景(81〜100)/草野春心
 
しろ貪欲な
  輪廻転生

  91.

  僕の記憶と君の記憶
  その間に流れる
  薄暗くしめったものを
  きっと愛と呼ぶのだろう

  92.

  床に
  ころがる
  ペットボトル
  藍色の
  カーテンの向こうに
  世界の終り

  93.

  街の破片は
  心臓に突き刺さったまま
  街の痛みは
  誰にも理解されないまま
  街と僕らは背中合わせに進む
  距離
  距離
  距離

  94.

  冷房症に罹った
  家畜たちの夕暮れ

  95.

  水辺で
  ささやかな光を交わす
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