都市風景(21〜40)/草野春心
 
角から飛び出してきた記憶を
  僕もうっかり轢いてしまった

  26.

  路傍に
  虫の息で
  いくつかの数字が転がっていて
  女子高生がそれを見て嗤っていた

  27.

  夢見られることで
  追憶されることで
  彼方に置かれることで成立した街

  28.

  蛇口から
  滴った
  あわい恋心が
  僕たちの夜を鳴らす

  29.

  もう一つの季節をもとめて
  暁に
  水色の獣は嘶いた

  30.

  中吊り広告が飛び交う
  低い東京の空を裂いて
  「超人」の言葉が飛んでも
  それ
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