対峙/豊島ケイトウ
ながら 交わった
おまえはもう干からびて 干からびて 干からびて
風葬といえば聞こえはいいけれど
(――私は十二分に闘ったのだ
おまえの肉を食らう猛禽と
おまえの血を連れ去る驟雨と
おまえの骨を嘲笑う陽光と
これでも闘っていないと
打ちひしがれなければいけない
理由があるものか――)
ここに一つマイクロホンさえあれば
泣きついてもいい 大声で
ここに一つ白い布さえあれば
降伏したっていい いいかげん
ここにあるのは 象牙の笛――
もし噴火が起きたら思いきり吹けと言われた
風呂に入りたい新品に着替えたいな
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