残光/水川史生
押し殺して
虐殺される悲鳴に眠れない夜
あの音を憶えているか その旋律を歌っているか
遠ざかるピアノの音階ばかりが君を高みへ押し上げるだろう
その中で僕は春さえも迎えることが出来ない
砂糖菓子のような甘さで 君は僕を惨殺する
日めくりのカレンダーが染まっていく
嘆いた太陽は等しく僕を殺しに来る
古びた雑居ビルからのダイヴ 抵抗感のない無重力で
真綿で首を絞めていく君の朝が僕を飲みこんでいく
すべて終わっていただろう と かすめ取る月さえ無残に砕ける
残響音 残響音 ハウリング ノイズ ノイズ ノイズ
君の愛しているが僕を劈く
目を塞い
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