残光/水川史生
 
塞いでいる 脳に直接流れてくるその爆音を君は知らない
解ったように語るすべてをやめてくれよ 僕は髪を切り落とすしかない

呟かれる言葉で形成される世界 君が遂に見なかった僕のてのひら
合わせては飛び退る環境音に騙される背中越し 何も知らない
発する記号もないままで 解き明かすという発光さえない
軽やかに先へ向かう君の足元で いくつもの指が死んでいるのに気付いているか
祈りは届かない 紡ぐ詩篇は焼かれてしまった
僕が盲目なままであらわしていた情景に雨が降っている

傘が落ちる

さよならを聞いたか
垂れ流していた音楽に触れたか
そうしてまた泣くのだろう 君は 君は

真白の紙に刻まれる血の憂鬱を君は齧らない
喰らっては黒く変色してゆく暗澹が 暮れていくスクリーンを埋めたとしても
余白に書かれる消えかけた僕の直線も 君の心臓を留めることが出来ない
葬られて炎上する 片手をあげる僕の手首から放たれる意図を

水没するその中で眠りの端を探している
君が弾圧するそのすべてを僕は抱えて死に走るだろう
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