残光/水川史生
 
君の背中にナイフを突き立てる

爆撃したその空間から飛び散る欠片にキスをしようと
思い立ってから飛びだすまで三秒の間さえも存在しなかった
鋭利 トリガー 貫いては焦点 繰り返される弾丸のスピード
君が殺しにかかるいくつもの僕が叫んでは粒子に変わっていく

もう 鮮やかさを捨てたのです
どうせ君の瞳には何も映らないので
本当はずっと前から知っていたけれど
もう 捨てたのです

クラクションの次の衝撃
吹き飛ばされる身体に雨が打ちつけては飛散
打ち抜かれる鍵盤がやがて弾けて僕の鼓膜を引き裂く
通り過ぎる君は見ないふり
穿たれる僕は声ばかりを押し
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