≠/水川史生
余白のうつくしさをうたっている。
掌を透かす雨粒と、それを飲み続けている不条理と、いくつもの、いのちに、鮮やかな光。
名前をつけるようにTactを振り上げる。指揮者、であった。繰り返し焦がれて、手をのばし指を抱く。祈りは、正しさであったか。
わたしが愛をするひと、で、あれば。
耳の奥でHowlingする。
引き抜いたCordもお構いなしに世界は巡ってしまうから、せめて、出会えばいいと声を張り上げる。
混ざり合えば消えてしまうかな。溶けてしまうかな。
赤さに焼かれながら死んでしまうかな。
酷く透明な宣誓だけがゆるやかにすべてに慈愛を捧ぐだろう。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)