≠/水川史生
 



言葉を、Lyric、描くことを忘れたことはなかった。痛々しさに泣き崩れても、何度嘘を飲んだとしても。溢れたなら光れ、悲しみが昇華されるように。
エンコードだから伝わらない。はやるのは心音だけで、鉄屑が降り注ぐ街を歩いている。

Dotを染め上げて、Song、カラーを忘れるな。

走り去れば本物だっただろう。遠く届くことさえ叶えば。涙がいとしいものでありますようにと願った。あなたが、あなたが聞いて、優しさと抱き合えるように。紛れのない円形、遠目から見る世界がいかに穏やかに甘いものであるか。

朝暮れの薄い眠りに静寂の、唇を落としては浮遊する。赤錆に埋もれた記憶の、傷から覚まされる恍惚、その時、わたしは少女だった。
あなたが雨に眩んで、鉄屑に掻き消えた時。わたしは少女でしか、なかった。


だから世界よ正しく優しくあれ、と。

あなたに溢れることがないように。
正しく、優しくあれ。

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