無知のカバンに雨は降る。/ブライアン
 
雷が南で落とされる。激しい音と共に光が破裂する。雷が止むことはなかった。うっすらと煙が空へ上がっていた。雷が落ちたのだろう。そう思っていた。それでも、その積乱雲の中へ身を投じなければ南へはいけない。さらに力強く自転車を走らせた。

 目をつむってはならない。たとえ遠くの国のことだとしても。人は爆弾によって殺されるし、ミサイルによって殺されるのだ。そもそも、そんなものは必要ない。雷によってさえ人は殺される。煙が上がる場所を見つめていた。大粒の雨が手の平に落ち始める。光が光る。遅れて音が鳴った。恐怖が押しかけてくる。周囲には高いものはなかった。雷が落ちる場所はどこか。その答えを答えたなら、命はない
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