幽霊のひもの/岡部淳太郎
 
、驚いてしまうのも無理はな
いね。それ(幽霊)はそんなふう
に言いながら、風に吹かれたみた
いに揺れ動きました。わかったよ。
僕(子供)はやっぱりわからない
ままでそう答えました。それから
それ(幽霊)はすっかり黙りこん
でしまって、もうただの白くて薄
っぺらいふとんみたいなものにし
か見えなくなってしまいました。
あいかわらずぽたぽたと水を落と
していましたが、もうだんだんと
ひものに近づいているようでした。
僕(子供)はあいかわらず思って

               思って思ってしまう中にいました
               が、その心もいつかひものになっ
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