相殺しきれなかった外灯/吉岡ペペロ
った
カレーの甘い香りと味噌の塩甘い香りがなじんでゆく
あたしは曖昧だ、ヨシミはそうひとりごちた
曖昧だから相殺されずにユキオとカワバタなんだろう
では、相殺とはいったいなんであろう
ヨシミはそこまでは考えなかった
ただ相殺とはなにかという感覚を景色としては感じていた
ヨシミの好きな夜のてまえの群青の空
あそこに澱みのように曳かれるカルテこそ相殺しきれなかった存在であるような気がした
カレーや味噌のダマがなくなるまでおたまでならしてゆく
ダマがなくなればさいごにお湯を三分の一ぐらいいっぺんに注いでスープの完成
お父さんが帰ってきたらスープに豚肉と葱をいれ軽く煮てど
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