相殺しきれなかった外灯/吉岡ペペロ
てどんぶりに取り分ける
湯がいたうどんをそこに落とせばヨシミ特製カレーうどんの出来上がりだ
離婚してからヨシミは極力お父さんにご飯をつくってあげていた
お父さんは帰ってきて晩ご飯がなかったら明らかに不機嫌だった
お父さんから電話だった
きょうから泊まりがけで山登りにゆくこと言ってたっけ、
聞いてないよ、ちゃんと言ってよ、いっつもじゃない、
おまえ誘ったら行かないって言ってたから、
もういい、それより山気をつけてね、だれといっしょなの?
電話をきるとカレーの湿気た匂いが部屋にたまっていることに気づいた
ベランダをあけてもそれは冷たくなるだけで立ち去らなかった
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