散文詩-彼方に寄せて/黒木みーあ
 
れた歩道で、歩いているあなたを見つけた、( あの夜は、呼吸をする度、肺の奥の方から背中にかけて鈍い痛みが走っていました。あなたは既にわたしの声さえ聞こえていない素振りで、わたしは、まだ波音がここに届いていないことが、とても悲しかった。がくり、と、音がしたのではないか、とさえ思う程突然に、わたしの腕にあなたの重さが圧し掛かってきて、痛みが走り、その後のことが、今でも、思い出せないのです。

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焼け跡には、鉄の骨がいくつも残り、かつて、モノであったものの重たさは、まだ少し温かく、手の平に小さな痕を残していた。誰も居ない、無人公園。灰黒色の空からは綿雪が舞い始めて、今や黒く、輪郭だけの家
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