散文詩-彼方に寄せて/黒木みーあ
 
いたのです。 

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閑散とした草原を抜けた先にある、雑木林の奥の開けた、ガラン。上を見上げれば、星明かりは一層明るさを増し、無意識にふるえていた胸の鼓動は、いつの間にか独りでに歩き始めていた。見はるかす夜の天板は、手の届く所まで透過し始め、光年の年月を跨いだオリオン大星雲が、わたしの半身を、その一時輝かせていた。耳の奥の、奥の方で、遠音のような耳鳴りがきこえている。( そよぐ木々の根、或いは、暗黒を伝う、散光。訪れた静謐は鼓膜の周りを取り囲んで、膜が張ったような感覚だけが、まるで確かなもののように、もうひとつの半身を包み込んでいた。

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 (( 海から、数キロ離れた
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