散文詩-彼方に寄せて/黒木みーあ
 
きな声を上げ、弾け飛ぶ。剥がれ落ちた塗装を、もう誰も、心配しなくて済むように、幾重にも連なる火飛沫は、消える間際に枝分かれをくりかえし、暗黒の夜空の中を皆ちりじりに、散っていった。

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 (( 眠れない夜はいつも、"声"を聞いていました。夜の、"声"です。それは時に風であったり、車のクラクションの反響であったり、聞こえるはずのない浅瀬の、波音であったりもしました。いつも、耳の奥の方から響いてはわたしの半身を震わせて、瞼の裏側へ夜を、少しずつ少しずつずらしていくのです。絶えることなく"声"は、確かに、わたしのことを呼んでいた
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