目覚めた朝に、生まれたい。/黒木みーあ
。わたしを見ると急に怒り出して、ぼかすかとグーで殴ってきた。わたしとあまり背丈の変わらない母なので、上方から振り下ろされるグーは、頭付近、鎖骨辺りに激突していく。
母はもう言葉にならない言葉を言いながら、狂う寸前だった。わたしはまた先輩のことを思い出して、母のこともおもいきり抱きしめてみた。すると母も、しばらくするとわたしの胸の中で眠ってしまった。やっぱり死んだように、眠ってしまった。途端に、部屋の中から音が無くなって、真夜中が、少しずつ降りてきた。それに同調するように、わたしの瞳のすぐ下では、太りに太った大きなクマが、ばったんばったんと、寝入る準備を始めたらしかった。
午前五時二十五
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