目覚めた朝に、生まれたい。/黒木みーあ
。ほんとうは別に、お金とか無くてもよかったんだけど、って、バイト先の先輩に話をしたら、飲みに誘われたので、そのまま眠りにつくことにした。
午前二時、覚醒しないまま、半裸状態で夜道を歩いた。煙草を吸いながら、先輩の両腕にあった傷を思い出す。かさぶたの上を横切るように傷が走って、その傷の上にまた傷が走って、なんだかとてもおかしかったから、おもいきり笑って、その後、おもいきり抱きしめたら、先輩は、わたしの胸の中で眠ってしまった。死んだように、眠ってしまった。きっと先輩も、眠る場所を探していたんだろうと、そう思ってみた。
まだ風が、少しだけ冷たかった。
家に帰ると、母が泣いていた。わ
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