目覚めた朝に、生まれたい。/黒木みーあ
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午前三時、まどろみの淵で眠りについて、午前六時三十分、母の声で目が覚める。何もしていないのに、何故か身体中が痛い。きっと大きなクマが瞳の下で寝そべっているに違いなかった。目が、とてつもなく重たいのだ。
よたよたしながら階段を下りて居間へ行くと、母がわたしの方へ振り向いて、青ざめた様子で近寄ってきた。どうやら今朝方、わたしが死んでしまったらしい。母が居間へ降りてきた時には既に息はなく、口から得体の知れない液体が出ていたそうな。落ち着きのない母に、死体はどこにあるのかと尋ねると、母は思いだしたように台所の隅の方を指差した。けれどそこには何もなく、とりあえず、わたしは空腹を感じ始めてい
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