猫/アマメ庵
 


休日の日中。
私が玄関も縁側も開けて読書をしていると、横を猫が歩いていった。
茶色と白の斑模様である。
定められた足取りで塵箱の淵へ上がると、体を突っ込んでガサゴソとやり始めた。
私はその様子を息を殺して見届けていた。
先日に塵を出したばかりだから、中には大した食料はないはずだ。
やがて猫はスルりを降りると、私のすぐ横を通って、何も言わずに玄関から出て行った。
猫が去った後の塵箱をみると、袋は乱れていたが、それほどには散らかしていなかった。
猫は綺麗好きと言う。
出入りが容易であれば、ちょっと覗いて、悪さをすることもなく、食したり、或いは食料がないと諦めて他所に行ったり
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