猫/アマメ庵
またある晩、裏の小父さんが何と言う名か知れぬ魚の煮付けを呉れた。
一人鰥夫であるから、久しぶりの贅沢が嬉しくて、良い調子で焼酎も頂いて気持ちよく寝た。
今度は、キチンと自分で片付けもして床に入った。
これが朝目覚めてみると、塵入れの周りに魚の骨が散らばっている。
これは、自分が知らぬだけで酔うと妙な行動を取るようになったかも知れぬ。
酒を止める訳にはいかないが、よくよく注意をしなくてはならぬと戒める。
またまたある晩、暗くなってから家に帰る。
引き戸を開けると・・・猫がいた。
全身真っ黒で、痩せた猫。
急な鉢合わせで、私も先方も次の局面がわからずお見合い。
私が追う
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