鳩の飛ぶ夜/竜門勇気
いので、おそらく永遠に行われない、冒険への憧れを満たすだけの稟議だと僕はおもう。
ある科学者は、「ならば余分に人を積めばいい」と言った。
それほど貧しくなければ脳幹以外はLSIと代換生体で修理ができる。
こんな安全な暮らしに誰がETを待っているのだろう。
いや、まさかとは思うが最近コールドスリープを行う業者の管理区域でテロが相次いでいる。
生命の倫理は何度僕を裏切っただろう。
この僕の住んでいる国では、まだ生体部品を使った医療が認められていない。
肝臓や、腎臓なんかの一部の臓器が保険も適用されず馬鹿高い値段で提供されているだけだ。
その代わりクライオトロニクスが世界のどの国より
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