祖父からの伝言/朧月
私は祖父が嫌いだった
まじめで 正直で 社会のために
人のために自分を犠牲にする人だった
自分だけでなく家族もそれに従わせた
だれもしていない
そんなことは理由にならなかった
し だれもしていないからやめさせられた
家族全員が違うといっても
自分はそれが正しいと思うから正しいのだといった
自分がひきさがるときは
ばかみたいな考えにはなにをいっても無駄だ
といった
テレビでカラダの不自由な人があらわれると
ああはなりたくない といった
みっともないといった
母の親のことを常識がない といった
いろんなことが祖父の中で生まれ
家族は黙認していった
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