祖父からの伝言/朧月
 

家族は無口になっていった

祖父は 孤独だったのだろうか
祖父は 若い頃家がいやだといって家出した祖父は
家がすきだったのだろうか

祖父はどの部屋でも当たり前に出入りした
自分のうちに入ってなにが悪いといった
祖父の気がかりは 屋根のかわらの古さ
庭石の欠けた部分

今 祖父は村に出来た速さが10番以内の自慢の墓に眠っている
母親に似ている 私が手入れする墓に眠る

祖父の気がかりだったかわらは
あれからなおされることなく古いままで
なにも漏らすことなく 家の頭のままである

我が家の頭は
新しくなっていず 祖父が小言を言わないように
みんな順列を守っている

かろうじて


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