こころについての手紙/瑠王
くんですね、先生。
いつか観覧車の窓から眺めたように目に入るもの全ては。
代わりに拾ったのは他人のこころでした。
それを胸の箱にしまって今日まで生きてきたのです。
しかし他人のこころでは火を灯してもすぐに消えてしまう。
何度も何度もマッチを擦りました。
凍えてしまわないように、と。
しかし他人のこころでは僕の血をうけつけないのです。
そして先生、気づいたんです。
誰も笑ってなんかいないのだ、と。
皆、怒っている。
皆、悲しんでいる。
だから必死に繕っているんです。
僕は誰かが取り戻すべきこのこころを
ここへ埋めることにしました。
いつかその誰かがこの上を訪れた
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