接触への欲望、虚構による螺旋/葉leaf
る。極言すればあらゆる認識は接触であり、ただ、接触の程度の違いがあるだけかもしれない。
2.虚構による螺旋
老人ホームのマイクロバスは
褪色した街の通りをなぞり
街角に立つ老人を拾っていく
(中略)
父が街角に立っている
ベレー帽を被って
母が街角に立っている
煙るような眼差しで
わたしが街角に立っている
遠い松風を聞きながら
(「静かな晩の食事」より)
伊藤の詩は日常や異国での心象や風景・人々をスケッチするものが多いが、虚構の豊かな領域へと自らを解放し、現実に対していくつもの平行面を広げるような作品も少なからずある。詩行が現実から虚構へ向かう
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