自殺志願/攝津正
。もう他者からの評価をあてにするのには厭いた。
『労働』『生きる』『シコシコ』は危機とそこからの脱出、凡庸な日常への復帰、「生きる」ことの引き受け・肯定・承認がテーマだった。だが、『倉庫内労働者の憂鬱』の破綻は、結局凡庸な日常には回帰できなかったということの証しであり、本連載『自殺志願』はそこから出発する。
ところで、タニケンから描写がないとの指摘があった。実は倉数さんからも、描写をすべきとアドバイスされている。だが、私には描写ができない。真実ではないことは書けないというような倫理的問題(前田さんがそう推測したような)ではなく、技術的に無理なのである。物を言葉で描写するということが、私には
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