自殺志願/攝津正
 
二千十年三月十一日執筆開始

 死にたいと思った。生きたくても生きられない人もたくさんいるのに、贅沢だと思ったが、そう感じてしまうのはやむを得なかった。何一つ、明るい見通しはなかった。これまで一年半続けてきた倉庫の仕事は辞めざるを得ないだろうし、といって自営も難しいだろうし、八方塞がりでどうしようもない印象だ。だからといって今すぐ、死ぬ度胸もなかった。死ねないから生きている、消極的生存者だ。そんなのでいいのか、と自問自答するが答えは出ない。
 倉庫の仕事で知り合った仲間の顔を一人一人思い浮かべた。懐かしいと思った。二度と会えないのかと思うと寂しかった。だが、仕方がないとも思った。倉庫の仕事は
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