石化/結城 森士
 
り刻んでいくのを、焦燥した眼差しで眺めては

(いけない。このままでは…。
 血脈が一定のリズムを刻みながら首筋を伝わり、憔悴した表情が夜の窓に写りこむ

 しわがれた低い男の声だ

(おれが正しいのならば、おまえは間違っている)

 それは違うのだと、あらん限りの声で叫んだ。
 大声で泣き喚いた。床に頭を強く打ち付けて許しを求めた。
 まるで出口の無い箱の中に閉じ込められた野獣のように、暴れ、なんとかして抜け出そうと、壁を叩きながら小さな部屋の中を動き回った。
 急に走り出しては壁に激突して、身体を傷つけては血を流し、壁面の古傷はとうに変色してドス黒い染みをつくったまま、
[次のページ]
戻る   Point(3)