石化/結城 森士
 
ま、いくら拭っても消えることはなく、どうにも

(いけない。このままでは…
何度も大声で周囲の人たちに訴えたが、助けを呼んだところで、誰も相手はしてくれないだろう。そこで


(そうだ、その調子だ それでいい、それでいい)


乾ききった低い声で激しく笑い始めた。
呼吸をすることさえもどかしい
しばらくすると、今度はもう、動かなくなった
布団の上で体育座りをしながら
ずっとこうして朝を待っている
もう何年も朝を待ち続けている



(昔、炭酸水のような朝焼けをみたことがある。朝の光が上昇しながら、弾けて躍動していた。粉々になったガラスの破片が浄化されていくような、淡いピンクソーダーだ………
戻る   Point(3)