ファイルの終わり/水町綜助
 
   *


   凭れたなら



   鳥のように

   木の欄干は鳴いて



   帯のゆるんだゆかたのむねと

   あのうみは

   つながっているようだと



   どうやら

   いま音だけになった海が

   夜として

   潤って打ち寄せている





   糸電話になった私は



   あなたを呼ぶ



   床の間のセーフティボックスを
 
   開けたり閉めたりしていて


  
   振り向かない



   ヒンジの音がやっぱり鳥のようだよ



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