ファイルの終わり/
水町綜助
張り詰められない
耳はそばだて
*
二月の高台にのぼって
梯子に手を掛ければ
錆びた鉄棒の
剥離した
白い塗膜のうろを
おお
おお と
風が渡っていくのです
最後の一段をのぼり終え
なだらかな
ひろがるまちの薄布を
ほそめて臨んだ逆睫を
おお
おお と
風がからめて鳴るのです
指のはら
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(5)