ファイルの終わり/水町綜助
 


   張り詰められない



   耳はそばだて




  *




  二月の高台にのぼって

  梯子に手を掛ければ

  錆びた鉄棒の

  剥離した

  白い塗膜のうろを



    おお



  おお と



  風が渡っていくのです



  最後の一段をのぼり終え

  なだらかな

  ひろがるまちの薄布を

  ほそめて臨んだ逆睫を



  おお



  おお と



  風がからめて鳴るのです



  指のはら

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