船/鈴木陽
 
っている。この力動は草の根のように方向性を持たないと考えてしまうけれど、切断し断片化されて配置される、これら航海日誌は結局のところ本棚という平面に並んでおり、それはまた表紙と表紙を密着させながら、滑走していくだけのものであって、計画された詳細な分析によっては、その運行を詳らかに公開できる類のものである。ただその連鎖が続き続ける。その一瞬ごとに膨大な量の行列が紙面に配置され、また絶え間なくそれは続けられる。やがて、書き上げられた書物は積み重なる書物の重みに、潰れ、読まれなくなるのだ。その忘却されていく埋没されていく時間に、幽霊は現れて我々の傍らに佇む。幽霊たちと我々の間には、忘却されているかどうかの
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