ぼた雪/ルナ
月の光がやさしく降りそそぐ夜明け前
星のカケラのように
ぼた雪ふたつ みっつ
急な斜面の屋根の上
ひとつ転がり
ふたつ弾んで
みっつ溶けて泡になる
月の光に吸い込まれ
色を音を時さえも
みんな淡い蒼へとかわる
屋根から落ちたぼた雪
うさぎにかわり
雪原の中を駆けていく
その姿
知らず知らず
目で追いかけて
手を差し伸べて
伸ばした手に触れたのは
泡になった雪だけで
その気持ちもわからないまま
伝わらないまま
指先濡れて
心も濡れて
ほどなく月は沈み
日は昇り
暦は移ろい
色もかわる
限られた時と空間
日々忙しくかわる日常と
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