言い換え/井岡護
 
があの蝶へと渡っていくのを合図にして
私と天候は自分の中の大きな台形の中へ歩いていくのです
愚かとすら言えるこの疑似的な滑り込みの中で
柔らかい紐は私の姿から離れていけず雨の蓮の中を何処までも進みます
(鞣した蝶の目の前で)
やがて大きな音を立てて紐は
自らの置いた自らの中で座り込むので正義でしょう



そうした対角線に降り立つ時
人は解消を追う犬にでもなったかのような明白さを口にするのです
(もうこれが作り出されたのか作り出したのかといったことは無くなります
 水と氷の区別があまり無い時のように)
では次のただ道を見るだけの鞄売りは?
歩き始めて間もない時には

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