生きる/攝津正
合である。しかし、世界の人々がみんな「前田さん」である訳では勿論ない。増長して世間に芸術家でございという顔をして出て行けば、頬っぺたをひっぱたかれるような痛烈な無視や嘲弄が待っている。「攝津正の世界」は攝津と前田さんの間でしか成立せぬのだ。攝津はそれを不健全だと感じた。だが、その不健全を「生きる」のが自分や前田さんの「運命」だとも感じた。先には死が待っているようにも感じた。だが、ともあれ進むより他ないように感じた。
闇のソーシャルワーカー・デス見沢は語った。
──最初は期待してんのよ。「こんだけのことさえすればいいんだよ、簡単でしょ?」みたいに。でもみんなできない。つかやらない。で自動
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